コラム

「自然の力に手を添えて楽しむ」不揃いの葡萄とソープ塗装

3年前の春、園芸センターで葡萄の苗木を購入してきました。
上手くいけば高さ1メートル幅10メートルのメッシュのフェンスにツル、枝が絡まり、実がふさふさと連なることを連想し期待は膨らみます。

根が張り付き1年目の春は枝が2~3メートルに伸び、葉は何とか葡萄を感じさせてくれましたが、花は咲きませんでした。

2年の春は枝が5~6メートルとなり今年の夏秋には実がなるのでは、と期待が大きく膨らみましたが花は咲かず葉だけがどんどん増えていきました。
う~ん、まあメッシュフェンスを覆う葉のグリーンを楽しむことはできたし、枯れていく落ち葉にも秋を感じさせてもらえたし。

そして今年3年目の春、枝は10メートルまで伸び、既にフェンスを折り返してきました。
そんな元気な勢いを味方に3年目にして花が咲きました。
ということはひょっとして実がなるかも。
しばらくして2~3ミリの小さい実の子供が横に連なって見えてきました。
これこそが葡萄の子供だろうと思えるようになりました。
ここで初めて慌ててネットで葡萄育成の情報を見たのです。
いろいろ書いてありますがほっといても果樹園の葡萄狩りのような姿になるだろうと、浅はかな思いだけが先行していきます。
今年は梅雨が長く日照が少なかったのですが、それでも少しづつ葡萄の形になっていくではありませんか。
ところが私が購入したのは大粒巨峰と値札に書いてありましたが、葡萄の実は育ち膨らんでいってもいっこうにマスカットのような黄色から変わりません。

これはきっと園芸センターが他の品種なのに巨峰と間違えてしまったんだろうと諦めました。

しかししかし、紫がかった色合いが見えてきたのです。
これは巨峰かもしれないと思い慌てて実を包む紙袋を買いに行きました。
紙1セット45枚入りを購入しさっそく一つひとつ包んでいきます(当たり前です、まとめては包めませんから)。

何と袋が足りず新聞紙を切ってノリで貼って袋をつくりました。
必要総枚数は55枚にもなったのです。
ということは巨峰葡萄が55房ということです。
それからは毎日袋を覗いてはニヤニヤの毎日で、8月20日に初めて明らかに巨峰を5房を収穫しました。

とっても甘く、甘さだけは一人前で市場に出回っている巨峰に負けてはいません。
55房の生育環境は南東に位置した日当たりの良い場所で太陽総取りなのです。
自然の力だけで得た産物なのです。

そして今日9月12日、最後の9房を収穫しました。
経費(税込)は苗木1,058円、紙袋550円、食品100%虫除け1,320円、計2,948円です。一房53円60銭になりました。
不揃いの葡萄は巨峰らしい黒系の深い紫が70%、そこまでいかない赤い紫が20%、マスカットのような黄緑が10%です。

市場で販売されている巨峰はけっして不揃いで販売されることはありませんね。
食べる時に「美しさ」はもちろん、「食べやすい形」になっていると食欲が湧きますが、我が家の3年目巨峰はほど遠いようです。
「自然のまま」の良さはもちろん魅力ですが、「手をかけ」「目をかけ」「心」をかけて初めて自然が更に生きることが多々あります。
来年からは手塩にかけて育てていこうと強く決心をしています。
このようなことを考え思えるのは昨今のテレワークの多い日々のなせる業なんでしょうか。
私は葡萄育成の「にわかファン」のまだ入口ですので、年月をかけて本格参入し「本格的古参ファン」に辿り着きたいと思います。

私の生業、「家具」も葡萄育成と同様なことが言えるようです。
弊社マイデザインは無垢材を使い、オーダー家具を旭川工場で製作しています。
自然、天然の持っている素晴らしさをお伝えしていきたいと思い、無垢材の経年変化を楽しめる自然塗装をおすすめしています。

左「ソープ塗装」中央「オイル塗装」右「ラッカー塗装」

弊社で最も多く選ばれている塗装は、何とソープ(石鹸)なのです。
北欧ではメジャーな塗装ですが、日本でソープ塗装が1番多い家具販売会社は、長く家具に携わっている私も聞いたことはありません。
もちろん理由は明快です。
五感すなわち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚で選ばれているのです。
ソープ塗装を選ばれる理由の高い順から列記します。

1.マイデザインのEC、ショールームでは自然塗装だけの扱いになっている。
2.ショールームは木の香りが満ちている。塗装で無垢材に蓋をしていないからです。
3.ショールームでは一目見て木材のナチュラル感がわかる。
4.ショールームでは手で触れるとサラサラしていて気持ちが良い、子供さんの肌のように。
5.舌で舐めても安全。乳児、子供さんが。
最後に付け加えますと「私がすすめている」からです。

特にダイニングテーブルをご購入される場合には何度も繰り返してメンテナンスのご説明をします。
食事をする際には大人でも溢したりしてしまうことは多々あります。
ましてや小さなお子様がいらっしゃるご家庭では綺麗な無垢材木目が直ぐに汚れてしまいます。
ソープには撥水効果が有りますので、時間が経つ前に拭き取ればシミにはなりません。
しかしその都度気にしてテーブルを拭いていたら美味しい、楽しい時間が台無しになってしまいます。
そこでお客様にいつもお伝えしていることは
「少しの汚れは気にせずラフにお使いになってください」
「無垢材ですから拭いても取れないシミ汚れはサンドペーパー(紙やすり)を使えば取り除けます。サンドペーパーを一生涯何度使っても無垢材が底をつくことはありません」
「時間がある時にソープ液体を塗って木と戯れてください」
「経年変化を十分に楽しんで、子供さんに引き継いでください。思い出話しに花が咲くことでしょう」。

細かいことには気にせず今という瞬間を、思う存分自然の力を楽しみ満喫する。
それには自然に任せっぱなしにするだけではなく、思い出したように習慣化するようにメンテナンスをしてあげる。
そして新たな楽しみや発見を見出せたら自然の楽しさがきっと広がっていきますね。
葡萄と3年間生活をしていて家具のソープ塗装に繋がるなんて、自分の生活がいかに家具にしか目が向いてないかを認識してしまいました。

お問い合わせ

ご希望の素材や仕上げなどを入力すると、
オーダー時の大まかな金額を見ることができます

価格シミュレーション 
 オンラインショップはこちら

オーダーに関するご相談やご来店予約、
Zoomお打ち合わせなどお気軽にお問い合わせください

お問い合わせはこちら

関連記事一覧